ちょう

冒頭文

のぼる ○空はうらゝかに風はあたゝかで、今日は天上に神様だちの舞踏会のあるといふ日の昼過、白い蝶と黄な蝶との二つが余念無く野辺に隠れんぼをして遊んで居る。今度は白い蝶の隠れる番で、白い蝶は百姓家の裏の卯の花垣根に干してある白布の上にちよいととまつて静まつて居ると、黄な蝶はそこらの隅々を探して、釣瓶の中や井の中を見たが何処にも居らんので稍失望した様子であつた。忽ち思ひついたかして彼方の垣の隅へ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆35 虫
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年9月25日