よさむじっく
夜寒十句

冒頭文

虚子を猿楽町に訪ひて夜に入りて帰途に就く。小川町に出づるに男女竪にも横にも歩行(ある)きて我車ややもすれば人に行き当らんとする様なり。彼等の半は両側の夜店をあさり行くにぞある。考へて見れば今宵は五十稲荷の縁日なり。我昔こゝらにさまよひし頃は見んとも思はざりし夜店なれど、此頃は斯(かか)る事さへなつかしく店々こまかに見もて行かんと思ふに実にせんなき身とはなりけり。古き雑誌書籍売る店、歯磨石鹸など売る

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆72 夜
  • 作品社
  • 1988(昭和63)年10月25日