かていのひとへ
家庭の人へ

冒頭文

風呂の寒暖計 今からもう二十余年も昔の話であるが、ドイツに留学していたとき、あちらの婦人の日常生活に関係した理化学的知識が一般に日本の婦人よりも進んでいるということに気のついた事がしばしばあった。例えば下宿のおかみさんなどが、呼鈴(よびりん)や、その電池などの故障があったとき少しの故障なら、たいてい自分で直すのであった。当時はもちろん現在の日本でも、そういう下宿のお神さんはたぶん比較的に少な

文字遣い

新字新仮名

初出

「家庭」1931(昭和6)年6月(風呂の寒暖計)、12月(こわいものの征服)

底本

  • 寺田寅彦全集 第二巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年1月9日