地には雪、空も雪の樣に白み渡つて家並ばかりが黒く目立つ日曜日の午後晩く相島は玄關にあつた足駄をつツかけて二町計りの所に郵便を入れに行つた。歸り路に曲り角で往來を見渡したがそれらしい橇の影も見えぬ。「今日は廢めたのか知らん」と思ひながら横道を這入つて覺束ない足駄の歩みを運ばすと子供が凧の絲目をなほして居るのに遇つた。多分は父親でも造つてやつたのだらう、六角形の四枚張りで隅に小さく「佐倉」と名前が書い