せんきゅうひゃくにじゅうくねんいちがつ――にがつ
一九二九年一月――二月

冒頭文

二月 日曜、二十日 朝のうち、婦人公論新年号、新聞の切りぬきなどをよんだ。東京に於る、始めての陪審裁判の記事非常に興味あり。同時に陪審員裁判長の応答、その他一種の好意を感じた。紋付に赤靴ばきの陪審員の正直な熱心さが感じられる 例えばこんな質問のうちに。 マッチから指紋をとろうとしなかったか 指紋をとることを思いつかなかったか 又煙はどっちへ流れたか 素人らしき熱心

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

底本

  • 宮本百合子全集 第十八巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年5月30日