つたのもん
蔦の門

冒頭文

私の住む家の門には不思議に蔦(つた)がある。今の家もさうであるし、越して来る前の芝、白金(しろがね)の家もさうであつた。もつともその前の芝、今里の家と、青山南町の家とには無かつたが、その前にゐた青山隠田(おんでん)の家には矢張り蔦があつた。都会の西、南部、赤坂と芝とを住み歴(へ)る数回のうちに三ヶ所もそれがあるとすれば、蔦の門には余程縁のある私である。 目慣れてしまへば何ともなく、門の扉の頂(

文字遣い

新字旧仮名

初出

「むらさき」1938(昭和13)年1月

底本

  • 日本幻想文学集成10 岡本かの子
  • 国書刊行会
  • 1992(平成4)年1月23日