ゆきのよる
雪の夜

冒頭文

一 仕事をしながら、龍介は、今日はどうするかと、思った。もう少しで八時だった。仕事が長びいて半端(はんぱ)な時間になると、龍介はいつでもこの事で迷った。 地下室に下りていって、外套箱(がいとうばこ)を開(あ)けオーバーを出して着ながら、すぐに八時二十分の汽車で郊外の家へ帰ろうと思った。停車場は銀行から二町もなかった。自家(うち)も停車場の近所だったから、すぐ彼はうちへ帰れて読み

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本文学全集43 小林多喜二 徳永直集
  • 集英社
  • 1967(昭和42)年12月12日