ずしだより
逗子だより

冒頭文

夜(よる)は、はや秋(あき)の螢(ほたる)なるべし、風(かぜ)に稻葉(いなば)のそよぐ中(なか)を、影(かげ)淡(あは)くはら〳〵とこぼるゝ状(さま)あはれなり。 月影(つきかげ)は、夕顏(ゆふがほ)のをかしく縋(すが)れる四(よ)ツ目(め)垣(がき)一重(ひとへ)隔(へだ)てたる裏山(うらやま)の雜木(ざふき)の中(なか)よりさして、浴衣(ゆかた)の袖(そで)に照添(てりそ)ふも風情(

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鏡花全集 巻二十八
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年11月30日