やまのてしょうけい
山の手小景

冒頭文

矢來町(やらいちやう) 「お美津(みつ)、おい、一寸(ちよつと)、あれ見(み)い。」と肩(かた)を擦合(すりあ)はせて居(ゐ)る細君(さいくん)を呼(よ)んだ。旦那(だんな)、其(そ)の夜(よ)の出(で)と謂(い)ふは、黄(き)な縞(しま)の銘仙(めいせん)の袷(あはせ)に白縮緬(しろちりめん)の帶(おび)、下(した)にフランネルの襯衣(シヤツ)、これを長襦袢(ながじゆばん)位(くらゐ)に心得(

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鏡花全集 巻二十七
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年10月20日