ぎゃくと
逆徒

冒頭文

判決の理由は長い長いものであつた。それもその筈であつた。之を約(つづ)めてしまへば僅か四人か五人かの犯罪事案である。共謀で或る一つの目的に向つて計画した事案と見るならば、むしろこの少数に対する裁判と、その余の多数者に対する裁判とを別々に処理するのが適当であつたかもしれない。否その如く引離すのが事実の真実を闡明にし得たのであつたらう。三十人に近い被告が、ばら〳〵になつて思念し行動した個々の犯罪事実を

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 定本 平出修集
  • 春秋社
  • 1965(昭和40)年6月15日