けいかく
計画

冒頭文

「昨日大川君から来たうちから、例の者を送つてやつて下さい。」亨一(かういち)は何の気なしに女に云つた。畳に頬杖(ほほづえ)して、謄写版の小冊子に読み入つて居たすず子は、顔をあげて男の方を見た。云ひかけられた詞の意味がすぐに了解しにくかつた。 「静岡へですよ。」男は重ねて云つた。女はこの二度目の詞(ことば)の出ないうちに、男が何を云ふのであるかを会得して居た。「さうですか。」と云はうとしたが、男の

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 定本 平出修集
  • 春秋社
  • 1965(昭和40)年6月15日