あとがき(『のぶこ』だいいちぶ) |
あとがき(『伸子』第一部) |
冒頭文
「伸子」は、一九二四年頃から三年ほどかかって書かれた。丁度、第一次ヨーロッパ大戦が終った時から、その後の数年間に亙る時期に、日本の一人の若い女性が、人及び女として、ひたすら成長したい熱望につき動かされて、与えられた中流的な環境の中で、素朴ながら力をこめて羽ばたきつつ自身の道をひらいてゆく現実を描いたものである。 第一次ヨーロッパ大戦後、日本にも民主的社会への自覚が芽生え、古い階級社会から解放
文字遣い
新字新仮名
初出
「伸子 第一部」文芸春秋新社、1946(昭和21)年12月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日