せかいかいだんめいさくしゅう 08 ラッパチーニのむすめ アウペパンのさくから
世界怪談名作集 08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から

冒頭文

一 遠い以前のことである。ジョヴァンニ・グァスコンティという一人の青年が、パドゥアの大学で学問の研究をつづけようとして、イタリーのずっと南部の地方から遙(はる)ばると出て来た。 財嚢のはなはだ乏しいジョヴァンニは、ある古い屋敷の上の方の陰気な部屋に下宿を取ることにした。これはあるパドゥアの貴族の邸宅ででもあったらしく、その入り口の上には今はすっかり古ぼけてしまったある一家の紋章が表

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界怪談名作集 上
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年8月4日