すずろごと |
すゞろごと |
冒頭文
ほとゝぎす ほとゝぎすの声まだしらねば、いかにしてか聞かばやと恋しがるに、人の訪(と)ひ来て、「何かは聞えぬ事のあるべき。我が宿(やど)の大樹(おほき)にはとまりてさへ鳴くものを、夜ふけ枕(まくら)にこゝろし給へ。近く聞く時は唯一(たゞひと)こゑあやしき音(ね)に聞きなさるれど、遠くなりゆく声のいと哀れなるぞ」と教へられき。 時は旧(ふる)き暦の五月(さつき)にさへあれば、おのが時
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 全集樋口一葉 第二巻 小説編二〈復刻版〉
- 小学館
- 1979(昭和54)年10月1日、1996(平成8)年11月10日復刻