せかいかいだんめいさくしゅう 04 ダムドシング
世界怪談名作集 04 妖物

冒頭文

一 粗木(あらき)のテーブルの片隅に置かれてあるあぶら蝋燭の光りを頼りに、一人の男が書物に何か書いてあるのを読んでいた。それはひどく摺り切れた古い計算帳で、その男は燈火(あかり)によく照らして視るために、時どきにそのページを蝋燭の側へ近寄せるので、火をさえぎる書物の影が部屋の半分をおぼろにして、そこにいる幾人かの顔や形を暗くした。書物を読んでいる男のほかに、そこには八人の男がいるのである。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界怪談名作集 上
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年8月4日