チュウリップのげんじゅつ
チュウリップの幻術

冒頭文

この農園(のうえん)のすもものかきねはいっぱいに青じろい花をつけています。 雲は光って立派(りっぱ)な玉髄(ぎょくずい)の置物(おきもの)です。四方の空を繞(めぐ)ります。 すもものかきねのはずれから一人の洋傘(ようがさ)直しが荷物(にもつ)をしょって、この月光をちりばめた緑(みどり)の障壁(しょうへき)に沿(そ)ってやって来ます。 てくてくあるいてくるその黒い細い脚

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • インドラの網
  • 角川文庫、角川書店
  • 1996(平成8)年4月25日