エミイル・ゾラのぶんがくほうほうろん
エミイル・ゾラの文学方法論

冒頭文

文学の方法論的研究が、近頃やうやく一部の人々の注意を、惹くやうになつて来た。このことは相当長期に亘る停滞時代を経てきた文学批評界に、恐らく劃時代的の活発な論議をまき起すやうになるだらう。片上伸氏は、既に二回までもこの問題について論議された。私はまだ遺憾ながら同氏の論文を読んでゐないが、伝へ聞くところによると同氏の論文は、マルクス主義的、即ち弁証法的唯物論の立場からなされた、堂々たる述作であるといふ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 平林初之輔文藝評論全集 上巻
  • 文泉堂書店
  • 1975(昭和50)年5月1日