ある日、みつ子さんがお座敷のお縁側で、お友達の千代子さんと遊んでゐますと、涙ぐんだ小さな声で唄が聞えて来ました。 わたしの お家(うち)は 海なのよ わたしの姉さん 母さんは 御無事で お家に 居(を)るでせうか わかれて来てから もう二年 一度もたよりは ないけれど お家に 御無事で 居るでせうか 唄は、ほんたうに哀(あはれ)ツぽい悲しさうな声で又聞