さっぽろじだいのいしかわたくぼく
札幌時代の石川啄木

冒頭文

石川啄木の代表作は和歌にある。或る人の言はるるには、啄木の作品のどれを見ても深みが乏しい、もつともつと深みがなくては不可(いけない)、要するに歳が若かつた為めだらう、今二三十年も生存してゐたら、良い作品も沢山残しただらうと、斯うした見方も一つの見方かも知れないが、私はさうとは考へてゐない、和歌は散文でなく韻文だからヒントさへ捉めばそれでよいのである、そのヒントさへ捉み得ない詩人歌人の沢山あることを

文字遣い

新字旧仮名

初出

「現代」1938(昭和13)年10月号

底本

  • 定本 野口雨情 第六巻
  • 未來社
  • 1986(昭和62)年9月25日