おおとねはちじゅうりをさかのぼる
大利根八十里を遡る

冒頭文

前橋の鈴蘭燈籠 停車場前から市街の外側をめぐる、新にひらかれた八間道路は前橋市の一偉観である。鈴懸けの街路樹が深緑の葉を夕風にそよがせて、見るからに涼しげであつた。夜は鈴蘭の花にかたどつた鈴蘭燈籠がついて、夏の夜にふさはしい『明け易き』といふ感じがある。民謡二篇。   ○ 来たらよく見な 鈴蘭燈籠 小花四つで 親一つ   ○ 夜の前橋ア 鈴蘭燈籠 お月ヤ出なくも

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1926(大正15)年7月29日、8月3日、8月4日

底本

  • 定本 野口雨情 第六巻
  • 未來社
  • 1986(昭和61)年9月25日