にじのはし
虹の橋

冒頭文

(一) ある山国に、美しい湖がありました。 この湖には、昔から、いろいろな不思議なことがありました。青々と澄んだ水が急に濁つたり、風もないのに浪が立つたり、空が曇つて星のない晩でも、湖の中にはお星様が映つて見えることなぞもありました。それには何か深い理由(わけ)があるだらうと、村の人達は思つてゐましたが、湖の中におゐでになる水神様のほかには、誰も知りませんでした。 いろい

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞 夕刊」1921(大正10)年5月14日~20日

底本

  • 定本 野口雨情 第六巻
  • 未來社
  • 1986(昭和62)年9月25日