こどもにばけたきつね
子供に化けた狐

冒頭文

子供に化けて、大人をだます悪い狐がをりました。 三五郎と云ふ百姓が、馬を曳いて帰つて来ますと、道の端に七八つ位の一人の子供が泣いてゐました。 三五郎は、狐が化けてゐるのだと気づきましたから、わざと知らない振りをして通りすぎようとしました。子供は三五郎の方を見い見い余計に泣きました。 どこまでも知らない振りをして三五郎が通つて来ますと、子供は大声をあげて泣き泣き馬の後を

文字遣い

新字旧仮名

初出

「小学男生」1922(大正11)年8月号

底本

  • 定本 野口雨情 第六巻
  • 未來社
  • 1986(昭和62)年9月25日