だいぼさつとうげ 11 こまいのとのかみのまき |
大菩薩峠 11 駒井能登守の巻 |
冒頭文
一 甲府の神尾主膳(かみおしゅぜん)の邸へ来客があって或る夜の話、 「神尾殿、江戸からお客が見えるそうだがまだ到着しませぬか」 「女連(おんなづれ)のことだから、まだ四五日はかかるだろう」 「なにしろ有名な難路でござるから、上野原あたりまで迎えの者をやってはいかがでござるな」 「それには及ぶまい、関所の方へ会釈(えしゃく)のあるように話をしておいたから、まあ道中の心配はあるまいと
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 大菩薩峠3
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年1月24日