だいぼさつとうげ 09 じょしとしょうじんのまき
大菩薩峠 09 女子と小人の巻

冒頭文

一 伊勢から帰った後の道庵先生は別に変ったこともなく、道庵流に暮らしておりました。 医術にかけてはそれを施すことも親切であるが、それを研究することも根(こん)がよく、ひまがあれば古今の医書を繙(ひもと)いて、細かに調べているのだが、どうしたものか先生の病で、「医者なんという者は当(あて)にならねえ、人の病気なんぞは人間業(にんげんわざ)で癒(なお)せるもので無(ね)え」と言って、自

文字遣い

新字新仮名

初出

第九巻「女子と小人の巻」「都新聞」1918(大正7)年 5月2日~6月20日

底本

  • 大菩薩峠3
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年1月24日