『このはてにきみあるごとく』のせんごに ここにかたられているいみ
『この果てに君ある如く』の選後に ここに語られている意味

冒頭文

これらの手記の選をして何よりもつよく、そして深く感じたことは、日本の社会は、女を、ひとり立ちで生きてゆかなければならない人として、子供のときから育てて来ていなかった、といういたましい事実である。歴史のはげしい波はこれらの女のひとたちから、生活のボートを漕ぎ手といっしょに奪ってしまった。溺れて死ぬまいとする婦人たちは、子供たちをかばいながら、そのためにあがきは一層不自由になり、疲れを早めながら、みん

文字遣い

新字新仮名

初出

「この果てに君ある如く」中央公論社、1950(昭和25)年5月発行

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日