わたしのせいしゅんじだい
私の青春時代

冒頭文

わたしの青春について語るとき、そこには所謂階級的なヒロイズムもないし、勤労者的な自誇もない。そこにあるのは一九一四、五年から二三、四年にかけての日本の中流的な家庭のなかで、一人の少女が次第に人間としてめざめてゆく物語があるだけである。それから、一人の少女が若い女となってゆく過程で日本の当時の自由主義がどうその成長に影響し、またつよくのこっている封建性が、どう反作用を加えたかという物語である。

文字遣い

新字新仮名

初出

「青年ノ旗」43号、1947(昭和22)年6月15日発行

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日