イワンとイワンのあに
イワンとイワンの兄

冒頭文

1 父親は病気になりました。あんまり年をとり過ぎているので再び快くなりませんでした。父親は自分の一生がもうおしまいになってしまったことを覚って、二人の息子を——即ちイワンの兄とイワンとを枕元へ呼び寄せて遺言しました。 先ず兄に云いました。 『お前は賢い息子だから、私はちっとも心配にならない。この家も畑もお金も、財産はすべてお前に譲ります。その代り、お前は、イワンがお前と一

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1928(昭和3)年1月

底本

  • アンドロギュノスの裔
  • 薔薇十字社
  • 1970(昭和45)年9月1日