「うどんくい」
「うどんくい」

冒頭文

いろいろと材料が不足して来ている台所でも、今日の私たちは心持も体もいくらか潤う食事をこしらえてゆくことに骨おしみしてはいまい。 お米が切符になって、昨今あらゆる人々が訴えていた不安や不便はなくなるであろう。でも、お米は副食品とせよという声もきこえていて、切符で配給される米の量がその考えかたに従って計られてゆく傾きだとすると、在来の米の御飯というものへの日本人の気持は根底から変えられてゆか

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール女性」1941(昭和16)年5月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日