みつくろい
見つくろい

冒頭文

たとえば半襟のようなものでも、みつくろって買って下さいね、とたのまれると、私たちは相当閉口する。自分が見てあのひとにはこれと思って選んだ色にしろ、果してその色を本人が好きと思うかどうかは不安であるし、見つくろって、と買物などをひとにたのむことは、相手を立てているようでその実は困りもののときが多い。 菓子屋などへ電話をかけて、見つくろっていかほど、と云ったりしているのをきくと、やはり嬉しい

文字遣い

新字新仮名

初出

「モダン日本」1940(昭和15)年6月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日