きのうときょう おんがくがかていにもたらすもの
きのうときょう 音楽が家庭にもたらすもの

冒頭文

この間日比谷の公会堂であった自由学園の音楽教育成績発表会へ行って、それについての様々な感想につれて、自分たちが小さかった頃の生活のうちに、音楽がもたらしたあれこれの情景をなつかしく思いおこした。 もうふた昔三昔のことで、私が五つぐらいと云えば明治三十年代の終りから四十年代のはじめにかけての時期になるが、その時分うちに一台のベビイ・オルガンがあった。五つをかしらに三人の子供たちをそのぐるり

文字遣い

新字新仮名

初出

「音楽評論」1939(昭和14)年8月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日