かんのうめ
寒の梅

冒頭文

一月○日 朝飯をたべて、暫く休んで、入浴してかえって横になっていると、傷の写真をとりますから腹帯(ふくたい)はあとになすって下さいということだ。やがて、白い上っぱりを着た写真師が助手をつれて入って来て、ベッドに仰むきに臥ている自分の右側のおなかの傷に向って高いところからアングルをとって写してゆく。もういいのかと思ったら富田さんがいそいで来て、木村先生が御自分でいらっしゃってからおとりにな

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸」1939(昭和14)年3月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日