うちあけばなし
打あけ話

冒頭文

一 講演 作家で講演好きというたちの人は、どっちかといえば少なかろう。私には苦手である。テーブル・スピーチでも、時と場合とでは相当に閉口する。昔は、大勢のひとの前に自分一人立って物をいうなどということはとても出来なかった。体じゅう熱くなるばかりで、人の顔や声がぼーっと遠のいたようになるのであった。 人前で物をいうようになったきっかけは、奇妙なことにモスクヷにいた時である。三月の或る

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京日日新聞」1937(昭和12)年2月9~11日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日