はたしておんなのきょえいしんがぜんぶのげんいんか?
果して女の虚栄心が全部の原因か?

冒頭文

夫人の虚栄心から出入りの軍需工業会社員から金銭を収受し、ついに夫の地位と名誉にまで累を及ぼした植村中将の事件についていって見たい。 こういう事件はやはり昨今の一部にかたよった景気につれて起った事でしょう、まだ一般の間に示されない、大なり小なりの同じような事実がないとはいえないという事は想像できます。 ただこの場合、当事者の夫人の虚栄心が災いを引き起したという事が主として強調

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京日日新聞」1936(昭和11)年11月28日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日