おとこがこうだからおんなも……はまちがい
男が斯うだから女も……は間違い

冒頭文

これからは男性とか女性とかいう風に相対的にものを考えることが少くなりましょう。それは私だって女房であった頃には自分の夫に対してはああも、こうもと思いましたが、此の頃は男性対女性というような事でなしに、ひっくるめて人間というものについて考えています。 よく貞操のことで男が道楽するなら女だって——というようなことを聞きますが、私はもうそんなことは下の下だと思います。それは私にしてもやきもちも

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1927(昭和2)年11月30日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日