こころのひまつ |
| 心の飛沫 |
冒頭文
胡坐ああ 草原に出で ゆっくりと楡の木蔭 我が初夏の胡坐を組もう。 空は水色の襦子(サティン)を張ったよう 白雲が 湧いては消え 湧いては消え 飽きない自然の模様を描く。 遠くに泉でもあるか 清らかな風のふくこと! 私は、蟻の這い廻る老いた幹に頭を靠(よ)せ 牧人のように 外気に眼を瞑って 光を吸う。耀(ひかり)や熱に 魂がとけ軽々と情景に翔ぶ この思い。 カーテン 若
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人世界」1924(大正13)年6月号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日