私の文学上の経歴——なんていっても、別に光彩のあることもないから、話すんなら、寧(いっ)そ私の昔からの思想の変遷とでもいうことにしよう。いわば、半生の懺悔(ざんげ)談だね……いや、この方が罪滅しになって結句いいかも知れん。 そこでと、第一になぜ私が文学好きなぞになったかという問題だが、それには先ずロシア語を学んだいわれから話さねばならぬ。それはこうだ——何でも露国との間に、かの樺太千島(