みっつのゆびわ
三つの指環

冒頭文

Ⅰ 昔々、バグダツドのマホメツト教のお寺の前に、一人の乞食が寝て居りました。丁度その時、説教がすんだので、人々はお寺からぞろぞろと出て来ましたが、誰一人としてこの乞食に、一銭もやる者はありませんでした。最後に一人の商人風の人が出て来ましたが、その乞食を見ると、ポケツトから金を出してやりました。すると乞食は急に起き上つて、「難有う御座います、陛下、アラアはあなたをお守り下さるでせう。」と云ひま

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集 第二十二巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年10月30日