オーくんのしんしゅう
O君の新秋

冒頭文

僕は膝(ひざ)を抱(かか)へながら、洋画家のO君と話してゐた。赤シヤツを着たO君は畳(たたみ)の上に腹這(はらば)ひになり、のべつにバツトをふかしてゐた。その又O君の傍(かたは)らには妙にものものしい義足が一つ、白足袋(たび)の足を仰向(あふむ)かせてゐた。 「まだ残暑と云ふ感じだね。」 O君は返事をする前にちよつと眉(まゆ)をひそめるやうにし、縁先(えんさき)の紫苑(しをん)へ目をや

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日