びしょう
微笑

冒頭文

僕が大学を卒業した年の夏、久米正雄(くめまさを)と一緒(いつしよ)に上総(かづさ)の一(いち)ノ宮(みや)の海岸に遊びに行つた。それは遊びに行つたといつても、本を読んだり、原稿を書いたりしてゐたには違ひないが、まあ一日の大部分は海にはひつたり、散歩したりして暮してゐた。 或暮方(くれがた)、僕等は一(いち)ノ宮(みや)の町へ散歩に行き、もう人の顔も見えない頃、ぶらぶら宿の方へ帰つて来た。

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日