さぎとおしどり
鷺と鴛鴦

冒頭文

二三年前(まへ)の夏である。僕は銀座(ぎんざ)を歩いてゐるうちに二人(ふたり)の女を発見した。それも唯の女ではない。はつと思ふほど後(うし)ろ姿の好(い)い二人の女を発見したのである。 一人(ひとり)は鷺(さぎ)のやうにすらりとしてゐる。もう一人は——この説明はちよつと面倒である。古来姿の好いと云ふのは揚肥(やうひ)よりも趙痩(てうそう)を指したものらしい。が、もう一人は肥(ふと)つてゐ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日