きょうくんだん
教訓談

冒頭文

あなたはこんな話を聞いたことがありますか? 人間が人間の肉を食つた話を。いえ、ロシヤの飢饉(ききん)の話ではありません。日本の話、——ずつと昔の日本の話です。食つたのは爺(ぢい)さんですし、食はれたのは婆(ばあ)さんです。 どうして食つたと云ふのですか? それは狸(たぬき)の悪企(わるだく)みです。婆さんを殺した古狸(ふるだぬき)はその婆さんに化(ば)けた上狸の肉を食はせる代りに婆さんの肉を食は

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日