わがさんぶんし
わが散文詩

冒頭文

秋夜 火鉢に炭を継(つ)がうとしたら、炭がもう二つしかなかつた。炭取の底には炭の粉(こな)の中に、何か木(こ)の葉が乾反(ひぞ)つてゐる。何処(どこ)の山から来た木の葉か?——今日(けふ)の夕刊に出てゐたのでは、木曾(きそ)のおん岳(たけ)の初雪も例年よりずつと早かつたらしい。 「お父さん、お休みなさい。」 古い朱塗(しゆぬり)の机の上には室生犀星(むろふさいせい)の詩集が一冊、

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日