ひとりのむめいさっか
一人の無名作家

冒頭文

七八年前(ぜん)のことです。加賀(かが)でしたか能登(のと)でしたか、なんでも北国の方の同人(どうじん)雑誌でした。今では、その雑誌の名も覚えて居ませんが、平家物語(へいけものがたり)に主題を取つて書いた小説の載(の)つてゐるのを見たことがあります。その作者は、おそらく青年だつたらうと思ひます。 その小説は、三回に分れて居りました。 一は、平家物語の作者が、大原御幸(おほはらご

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日