これは異本「伊曾保(いそぽ)の物語」の一章である。この本はまだ誰も知らない。 「或(ある)鴉(からす)おのれが人物を驕慢(けうまん)し、孔雀(くじやく)の羽根を見つけて此処かしこにまとひ、爾余(じよ)の諸鳥(しよてう)をば大きに卑(いや)しめ、わが上(うへ)はあるまじいと飛び廻れば、諸鳥安からず思ひ、『なんぢはまことの孔雀でもないに、なぜにわれらをおとしめるぞ』と、取りまはいてさんざんに打擲