さいのいっこうなるもまたにならず
才一巧亦不二

冒頭文

ヴオルテエルが子供の時は神童だつた。 処が、或る人が、 「十(とを)で神童、十五で才子、二十(はたち)過ぎれば並(なみ)の人、といふこともあるから、子供の時に悧巧(りかう)でも大人(おとな)になつて馬鹿(ばか)にならないとは限らない。だから神童と云はれるのも考へものだ」と云つた。 すると、それを聞いたヴオルテエルが、その人の顔を眺めながら、 「おじさんは子供の時に、さぞ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日