おうむ ――だいしんおぼえがきのひとつ――
鸚鵡 ――大震覚え書の一つ――

冒頭文

これは御覧の通り覚え書に過ぎない。覚え書を覚え書のまま発表するのは時間の余裕(よゆう)に乏しい為である。或は又その外にも気持の余裕に乏しい為である。しかし覚え書のまま発表することに多少は意味のない訣(わけ)でもない。大正十二年九月十四日記。 本所(ほんじよ)横網町(よこあみちやう)に住める一中節(いつちうぶし)の師匠(ししやう)。名は鐘大夫(かねだいふ)。年は六十三歳。十七歳の孫娘と二人

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日