ひとつのさくができあがるまで ――「かれのしょう」――「ほうきょうにんのし」――
一つの作が出来上るまで ――「枯野抄」――「奉教人の死」――

冒頭文

或る一つの作品を書かうと思つて、それが色々の径路を辿(たど)つてから出来上がる場合と、直ぐ初めの計画通りに書き上がる場合とがある。例へば最初は土瓶(どびん)を書かうと思つてゐて、それが何時(いつ)の間(ま)にか鉄瓶に出来上がることもあり、又初めから土瓶を書かうと思ふと土瓶がそのまま出来上がることもある。その土瓶にしても蔓(つる)を籐(とう)にしようと思つてゐたのが竹になつたりすることもある。私(わ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日