にゅうしゃのじ
入社の辞

冒頭文

予(よ)は過去二年間、海軍機関学校で英語を教へた。この二年間は、予にとつて、決して不快な二年間ではない。何故と云へば予は従来、公務の余暇(よか)を以(もつ)て創作に従事し得る——或は創作の余暇を以て公務に従事し得る恩典に浴してゐたからである。 予の寡聞(くわぶん)を以てしても、甲教師は超人哲学の紹介を試みたが為に、文部当局の忌諱(きゐ)に触(ふ)れたとか聞いた。乙教師は恋愛問題の創作に耽

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日