はっきりしたかたちをとるために
はつきりした形をとる為めに

冒頭文

中村(なかむら)さん。 私(わたし)は目下(もくか)例の通り断(ことわ)り切れなくなつて、引き受けた原稿を、うんうん云ひながら書いてゐるので、あなたの出された問題に応じる丈(だけ)、頭を整理してゐる余裕がありません。そこへあなたのよこした手紙をよみかけた本の間(あひだ)へ挾(はさ)んだきり、ついどこかへなくなしてしまひました。だから、私には答ふべき問題の性質そのものも、甚だ漠然としてゐる

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日