いちばんきのりのするとき |
| 一番気乗のする時 |
冒頭文
僕は一体冬はすきだから十一月十二月皆好きだ。好きといふのは、東京にゐると十二月頃の自然もいいし、また町の容子(ようす)もいい。自然の方のいいといふのは、かういふ風に僕は郊外に住んでゐるから余計(よけい)そんな感じがするのだが、十一月の末(すゑ)から十二月の初めにかけて、夜晩(おそ)く外からなんど帰つて来ると、かう何(なん)ともしれぬ物の臭(にほひ)が立ち籠(こ)めてゐる。それは落葉(おちば)のにほ
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻
- 筑摩書房
- 1971(昭和46)年6月5日